子育て世帯に優しい街作りって? 六本木の場合

今日は今流行りの某代官山のヨガスタジオが六本木のリッツカールトンで出張ベビーヨガイベントをやるというのでムスコと行ってきました。3ヶ月から1歳前後の赤ちゃんとママが30組ほどいました。それだけ赤ちゃんが一堂に会すると、そこら中で赤ちゃんが泣き叫んでインストラクターが何言ってるか聞こえないわ、どこぞの赤ちゃんにバッグの中身を引っ張りだされるわ、オモチャ投げられて顔にぶちあたるわ、オモチャのベンツに乗った赤ちゃんが寝かせていたムスコに突進してきて危うく轢かれそうになるわで、そこはもう何かの阿鼻叫喚の地獄絵図別世界。いや、いい経験でした。でも私個人としては、自宅でビデオ見ながら1人でゆっくり落ち着いてやるヨガのがいいなあと思いました。

さて、今回のお出かけには、先日2台目として手に入れた新型の国内最軽量のA型ベビーカーにムスコを乗せ、単身地下鉄に乗って六本木まで行ってショッピングをして帰ってくるという、もう一つの目的がありました。
マイ・セカンド・ベビーカー - MBAママの育児休暇

六本木と言えば、六本木ヒルズ東京ミッドタウンという二つのランドマークがあります。
何かと高級ホテル、メゾンのブティック、高級レストランがクローズアップされる六本木ヒルズですが、実はオールバリアフリー、広いベビールーム&おやこ休憩室がある、 ベビーカーOKの(高級でない)レストランが多くある、入居企業による子供向けイベントがよくやっているなど、非常にベビー&キッズフレンドリーな場所で、週末は小さい子供を連れた家族であふれています。私も以前は毎週末夫とムスコとここを訪れており、私の中では、恵比寿ガーデンプレイス同様、他に行くところがない家族連れが集う都会のジャスコという位置づけで好きな場所です。
六本木ヒルズは地下鉄日比谷線六本木駅に直結しておりもちろんエレベーターで行く事ができます。
ベビーフレンドリースポット - MBAママの育児休暇

さて、今回の私の目的地は六本木ヒルズではなく、東京ミッドタウンの方でした。ミッドタウン>リッツカールトン>六本木駅に直結、というイメージが私の脳みそに、「当然地下鉄の駅から地上に出るエレベーターがあるものだ」という思い込みを植え付けました。そうです、その思い込みのせいで事前にエレベータがあるかどうかの下調べを怠るという、カートママにあるまじき行為をしてしまったのです。ミッドタウン方面の改札出口を出てしまうともう地上に出るエレベーターはありません。(真逆方向の六本木ヒルズ方面改札出口から出てエレベーターで地上に出て地上から向かわなくてはなりません。)
この東京ミッドタウン、厳密に言えば地下鉄日比谷線に確かに直結しているのですが、駅改札から地下通路を100メートル以上歩かなくてはいけません。しかも、その間に起伏が激しく、合計50段以上の階段を上り下りしなくてはなりません。そのため、ベビーカーや車椅子の人はこの直結出口を使う事はできず、別の出口からいったん地上に出てミッドタウンを目指すことになります。しかし、最寄りの地上出口へのエレベーターはありません。バリアフリーからはほど遠い設計になっています。私はムスコとベビーカーとママバッグを担いで上記の50段もの階段を上り降りし、まるで何かの拷問重量挙げのトレーニングを受けているような錯覚を覚えました。

この経験は、私に3.11の地震の時の、六本木ヒルズ東京ミッドタウンの対応の違いを思い起こさせました。独立系の反体制の急先鋒たる森ビルによって建設された六本木ヒルズは災害時の都市要塞となるべく、都市ガスによる自家発電設備を持っており敷地内で使われる電気をすべて自力でまかなっている上、東京電力に電気を融通までしていました。また、居住者、オフィス勤務者、来訪者を守るシェルターとしての機能を持ち、一万人分の非常食糧や毛布を常備しています。一方、いざというときは国が守ってくれるだろうという態度丸出しの某旧財閥系ディベロッパーによって建設された東京ミッドタウンにはそのような機能はありませんし、もともとそのような機能を持たせようとも思っていなかったことでしょう。
ここに、街づくりというのは、担当ディベロッパーの街の再開発に対する責任や覚悟、つまり居住者や来訪者に対して責任を持つという覚悟があるかないかに大きく左右されることが見てとれます。それには、独自の街づくりに対する理念や行政やその土地における権力者とのつながりが必要にもなってくるでしょう。

そういうのなしにただキレイなものだけを局地的にぼこっと取ってつけたような再開発は、私のような乳児連れ主婦という社会的弱者にとっては暮らしづらい街になってしまうのでやめてほしいわ、と思う今日この頃でした。