妊娠高血圧症候群からのLesson

ムスコと里帰りしています。緑に囲まれ風通しのよい広々とした空間でムスコもめったに泣かず始終ご機嫌にしています。
以前読んだ数学者の藤原正彦さんの著書に、「世界中の天才たちは例外なく、そのルーツを探ってみると自然と文明が調和した美しい田園地方で幼少時代を送っている。」という一節があったのでそれに倣っています。(ウソです。単なる後付けのこじつけです。)いずれにしろムスコにとって、大都会と田園地方の複数の家があるというのはなんとも贅沢で恵まれていることだとは思います。

さて、先ほど実母と、ムスコの母子手帳と、私自身が赤ちゃんだったころの母子手帳をつき合わせて遊んでいたのですが、母子手帳の内容って、30うん年経ってもあまり変わっていないんですね。それからまたムスコの母子手帳を見返してみたところ、妊娠中の経過欄に以下の記述がありました。

  • 妊娠33週5日目・・・体重は妊娠前体重 +11kg 浮腫/尿蛋白/尿糖なし 血圧(上)110台
  • 妊娠35週5日目・・・体重 +13kg 浮腫/尿蛋白/尿糖なし 血圧(上)120台
  • 妊娠36週5日目・・・体重 +16kg 浮腫+ 尿蛋白/尿糖なし 血圧(上)120台
  • 妊娠37週5日目・・・体重 +18kg 浮腫++ 尿蛋白+ 尿糖なし 血圧(上)120台
  • 妊娠39週0日目・・・体重 +21kg 浮腫+++ 尿蛋白+ 尿糖なし 血圧(上)150台

結局妊娠38週6日目に前期破水で入院し、39週0日目で出産となったのですが、出産当日に初めて妊娠高血圧症候群と診断されました。
自覚症状としては、妊娠35週に突然脚のむくみがひどくなり、妊娠37週には浮腫で足の太さが2倍になっていて歩行困難な状態になっていました。35週5日目の検診で浮腫について医師に相談したところ、妊娠中はよくあること、血圧も目立って高くない、血液検査にも特に異常値はなかった、体重ちょっと増えすぎだから気をつけてね、ということでメディキュットでも履いたら?みたいな感じで終了したのですが、ここから毎日食事に気をつけ、メディキュットを履き、むくみ対策ハーブティーを飲み続け、早穫りのスイカを食べるなど思いつくあらゆる対策をしたにも空しく、39週までには浮腫、尿蛋白、高血圧という妊娠中毒症の症状が顕著になりました。
思えば36週で浮腫で脚の太さ2倍、体重増加+16kgという時点で自ら異常だと疑うべきだったのですが、妊娠中はよくあることで別に異常じゃないか、で済ませていたのが問題でした。
結局、産科医療の権威がいて都内随一の技術と設備がある、という病院で出産したためか、最新技術を駆使して超手際よくぱっぱと安全に自然分娩させてくれ、また、超親孝行なムスコがもうお母さん体きついだろうからと自ら卵膜を引っかいて絶妙なタイミングで前期破水させてくれたため、妊娠高血圧症であったことはあまり問題になりませんでした。
退院後しばらくして、別件で近所の評判の良い別の産婦人科に行きました。出てきた60代の医師に妊娠高血圧症であったことを話すと、「妊娠高血圧症なら必ずもっと前に兆候があったはず、漢方は処方されたのか?今回はお産が無事済んで良かったが、場合によっては大変なことになっていた。最近はその時になってから対処しようとする病院が多すぎる。」と言っていました。
妊娠高血圧症候群は、早産、動脈血管破裂などを引き起こす場合があります。もしムスコがあのタイミングで前期破水を起こしてくれずにあのまま次の検診日まで妊娠を継続させていたら私だってどうなっていたか分かりません。自分でこれは尋常ではない、と思った妊娠36週の時期に、他の産科にセカンドオピニオンを求めるなど(ネットでの相談や体験談サーチ以外に)何かしらのアクションを起こすべきであったと思っています。

会社員と同様に、医師も質のばらつきが非常に大きいです。日々技術の研鑽に努めている人がいる一方、患者がたくさんいるから一人一人の診察がおざなりになる人、症状を見逃す人、厄介ごとを避けようと官僚的なことしか言わない人、計器や検査の数値だけ見て杓子定規なことしかしない人、新技術の勉強を怠っていて知識や能力自体足りない人もたくさんいます。
自分と子供の命を守れるのは自分だけ。当たり前のことなんだけど、改めてそれを肝に銘じました。

産後は10日ほどで体重も血圧も妊娠前のものにすっかり戻り、すこぶる体調がよくてエネルギーがありあまるほど。人生って帳尻が合うようにできてるもんだなあ、と。