海外出張と「受刑者がハーバードを論破」から受けた衝撃。

海外出張から帰ってきたらもうメリークリスマス!
息子の枕元にプレゼントを置き、注文したクリスマスケーキを取りに行き。。。となんと慌ただしい。

さて、今回の出張の主な趣旨ですが、各国のE-business事業責任者がアジア本社のあるシンガポールに集められ、それぞれ2時間の持ち時間でプレゼンをし、ヨーロッパにある本社からやってきた新任の敏腕ヘッドにレビューされボコボコにされる、というものでした。私の前にやった3カ国が続けてボッコボコのメッタメタにされていて、正直嫌だなぁと思ったのですが、奇跡的に私はボッコボコにされずに済み、very goodという平和な結果に終わりました。
行く前は「2時間も喋ることなんてないよー」と思っていたのですが、いざ始まってみると質問攻めにされてあっという間に終わりました。

これは前回行けなかったGardens by the bay。不思議なセンスだけど、クリスマスイルミネーションとあいまってキレイです。

さて、これはシンガポール行きの飛行機の中でもらった新聞で見つけた記事なのですが、正直とても衝撃を受けました。12/15 毎日新聞の朝刊です。
記事リンク:地球ING・進行形の現場から:第23回 刑務所で大学教育 - 毎日新聞

「受刑者がハーバードを論破」
 9月に米ニューヨーク州の刑務所で行われた討論対決で、男性受刑者3人がハーバード大学のチームを破り、大きな反響を呼んだ。3人は凶悪犯罪で服役中だが、受刑者向け大学教育プログラム「バード・プリズン・イニシアチブ」(BPI、本部・ニューヨーク)で学位取得を目指して学んでいる。卒業生の再犯率は低く、更生に効果があるという。多すぎる刑務所人口は全米で深刻な問題となっており、大学教育の提供は負のサイクルを断ち切る切り札として注目されている。
 警備が最も厳重なニューヨーク東部の刑務所。緑色の囚人服を着た受刑者約100人が見つめる中、ハーバード大の学生3人と故殺(計画性のない殺人)や暴行の罪で服役中の3人が壇上で議論を戦わせた。テーマは「米国の公立学校は不法滞在の生徒の入学を拒否できるようにすべきだ」。
 BPIによると、受刑者チームは自分たちの考えとは異なる主張だったが、説得力のある論理を展開した。「過密と資金不足の落ちこぼれ工場になった学校が不法滞在の生徒を拒否できれば、NPOや資金力のある学校が参入し、より良い指導ができるようになる」と訴えた。1時間の討論の末、受刑者チームに軍配が上がると、観客席の受刑者から歓声が湧いた。勝利した3人は肩を抱き合って喜び、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に「刑務所内の教育の力を示したかった」と語った。敗れたハーバード大チームはフェイスブックで「驚くほど賢く、理路整然としており、負けたことを誇りに思う数少ない相手」とたたえた。

これはもう衝撃でした。もともと高等教育を受けずに20年もの間服役していた囚人が、然るべき教育を受けた結果、ディベートでハーバードの学生を論破したのです。
今回の出張で出会った本社ヘッドも(若いのに)、それぞれの国のプレゼンを長い時間集中してしっかり聞き、矛盾点を瞬時に突き、問題点を洗い出し徹底的に議論していました。正直今の私には他人のプレゼンに対して彼らと同じことはおそらくできないでしょう。そして、記事を読む前の私だったら、彼らはドイツやフランスなどで小さい頃からエリート教育を受け議論の技術をしっかりを身につけてきた人たちだからもともと私にはかなわない(ドイツやフランスは、日本とは比べものにならないぐらい超学歴社会で幼少の頃から進路を意識した教育を行っている)と思っていたでしょうが、この記事は、教育は年齢ではない、何歳でも成長することができること、また、いくら才能や能力があっても然るべき教育を受けないままでいると、何も開花しないまま終わる、という教育の素晴らしさ恐ろしさを感じました。(まあ私でも今から頑張れば彼らを負かすこともできるのよね。多分。)

自分の子供のことも考えちゃうなあ。。。これ、深刻だよね。