早期グローバル教育とグローバル難民

こんな記事を読みました。欧米名門校のアジア分校に入れるべく、とあるお母さんが3歳と5歳の子どもを連れてマレーシアへ母子移住。。。
マレーシアに移住する教育熱心な親たち!【前編】──狙いは英名門校の分校 - 日経トレンディネット

そういや最近、小学生で留学させるとか、早期の国際教育が流行っているようで。。。
グローバル社会で生き残れる強い子どもに育てたい!そう願って超早期の教育投資に熱心な親御さん達が増えているようです。

この手の話を聞くたびに、私は、留学先の大学院で共に学んだ、ある男性を思い出します。

彼の両親は中国人で、中国からオランダに移住してきました。彼はオランダで生まれ育ち、オランダ国籍を持ち、オランダ語を母国語とし、かの地で教育を受け、大学卒業後はファミリービジネスを手伝っていました。ファミリービジネスは成功していて彼の家庭は裕福でした。
よく彼は言いました。
「自分はバナナだ。」
外見は黄色い(アジア人だ)が、中身は白い(白人だ)。

小さい頃から、アジア人でもない、かといってオランダ人にもなりきれない。自分は何人なのだろう?と悶々と苦しんだといいます。
白人の国で暮らすアジア人ということで差別的な扱いを受けてイヤな思いもたくさんしてきたことでしょう。
彼は自分のルーツへの憧れをよく口にしていました。
彼は中国語を学び、大学院を卒業後、中国に渡り、そこで中国人女性と結婚して幸せに暮らしています。

情緒がある程度安定して自分が日本人だというアイデンティティーが育まれる前、あんまり小さいうちから、海外で長い間過ごして成長してしまうと、育ちも教育もグローバル、でも中身は?私ほんとうは何人なの?拠り所はどこ?みたいに悩みながら大人になるグローバル難民チックな若者が量産されるのかな?なーんて思っちゃったりするのですよ。

ほら、ハーバード大学のエラい先生も言ってますよ、「自国のアイデンティティーを持たない人はグローバルでは勝てない。」って。

それに、子どもの教育ってそれこそ息の長いマラソンみたいなもんじゃないでしょうか?
幼稚園とか小学校の段階で国外の名門校とかインターナショナルスクールとかに年間数百万という学費をつぎ込むのも別にいいんですが、そこってドバッとお金かけるとこなんでしょうかね。子どもが大学やら大学院に行くまでの20年間ずっとそれ払い続けられるんならいいんでしょうが、途中で(大学行かせる前とかに)お金尽きちゃいましたなんてことになったら悲劇ですよ。
私としては、一番お金かけたいのは、費用対効果が目に見えて最も高い大学(留学含む)や大学院で、実際ここが一番お金かかるんで、教育費温存しときたい気分です。まあ海外の学校行かせるんなら、情緒も安定して少しは学びたい事も見えてくる高校生ぐらいでもいいかな。

それに、実は、グローバル社会って学歴社会の到来を意味してるんです。日本なんて欧米に比べたら全然学歴社会じゃないですよ。
ほぼ単一民族でお互い勝手知った日本と違って、多民族入り乱れる欧米の国々では、基本的に人間は信用できない、というスタンスなので、採用プロセスで学歴をチェックされ、推薦人(レファレンス)を要求されます。また、管理職になりたいなら大学院卒ぐらいは必要条件とも言われます。多民族入り乱れるグローバル社会になればなるほど、まな板の上に乗るためには、はた目から信用できる基準=高学歴が必要になってしまうんです。

まあ、といっても私自身別に早期国際教育を受けた訳でも帰国子女でもなんでもないので、ヒガミで言いたい事言ってるだけなんですが、もし、超早期名門国際教育を受けた結果、スティージョブズみたいになりましたとか、スーパー名門インターナショナル幼稚園卒業生の30年後の平均年収とかデータを見せつけられれば、考えを改めるやも知れません。。。